フシグロセンノウ

最終更新日
2017/04/12
●学名
Silene miqueliana
●科名
ナデシコ科マンテマ属
●花期
7月〜8月
●生育地

北半球に広く分布。世界に約30種が知られ、日本には6種ほどが分布する。
フシグロセンノウは日本特産の多年草で、本州の太平洋側の温暖な地帯に分布し、林床や樹陰に自生する。
日本固有種。

●特徴

茎は直立し、高さ50〜80cm。茎の節は太く、紫黒色を帯びる。葉は対生で先端が尖り、縁には繊毛がある。花弁は5個で倒卵形。各花弁の基部に2個の濃色の鱗片がある。夏〜秋に朱赤色の花を次々に咲かせる。
種小名は、シーボルトと同じ頃、日本からオランダのライデン大学に多くの植物を集め、植物目録をつくったミケールF.W.Miquelにちなむ。
やや肥大した節部が紫赤色をおびる。山草の美花の1つとして、古くより仙翁花とともに茶花、立花、生け花に用いられた。

●写真集

フシグロセンノウの花フシグロセンノウ 日光植物園

●育て方

5月中旬〜6月中に摘心すると、草丈低く側芽が出て花数も増え観賞価値が高まる。風などで茎が倒れないよう添え木をする。

用土は3〜15mm粒大の赤玉土4、軽石砂4に、腐葉土またはパーク堆肥2を配合する。根の成長が活発なためすぐに根詰まりするので、1〜2年に1回は植え替えする。

水やりは表土が白く乾くのを目安にたっぷりと与える。休眠期にも行うが控えめにする。
年間を通じて木漏れ日がさす程度の半日陰が適所。

殖やし方は挿し芽が一般的で5〜6月に摘心を兼ねて行う。あらかじめ用土を湿らせておき、先端より5〜7cmほど切り取って発芽促進剤を塗り、小粒の硬質鹿沼土に挿せばよい。株分けは植え替え時に行い、実生は採り蒔きするが、種子のできない種もある。

●近縁種

エゾセンノウ  (別名、エンビセンノウ。北海道と長野県軽井沢の山地の林縁や草原に自生。高さ20〜80cm。花期は7〜8月。)

エンビセンノウ (北海道・本州の埼玉・長野県の山の草原に自生する。高さは50〜80cmで、7〜8月に深い切れ込みのある朱紅色花を咲かせる。)

オグラセンノウ (本州の岡山県以西と九州の湿原に生育。高さ60〜100cm。花期は7〜8月。)

センジュガンピ (花はやや小さくて白く、本州中北部に自生。)

マツモトセンノウ (別名ツクシマツモト。九州の阿蘇のやや湿った草原に自生。高さ30〜90cmで、6〜8月に花径約4cmの美しい花形の深紅色花を咲かせる。)

●和名

節黒仙翁。名の由来は茎の節が黒いことと、センノウは京都嵯峨の仙翁寺で発見されたことによる。属名のリクニスは「炎」を表し、緋色や火焔色した花色にちなむ。

●参考図書
園芸植物(山と渓谷社)、日本の山野草(NHK出版)、山草図鑑(栃の葉書房)、山野草大百科(講談社)