ナデシコ科は世界に約70属1800種、日本に約16属70種。日本の固有植物は15種10亜種。
北半球の温帯、特に中近東から地中海域を中心に熱帯から温帯に分布する。中でも特に観賞価値の高い種類は、ナデシコ属、カスミソウ属、センノウ属、マンテマ属などに多い。ほかにハコベ、ツメクサ、ミミナグサなど、馴染み深い植物の仲間もこの中に含まれる。花は白または紫色系が多く、ごくまれに黄色系も見られる。
草本、まれに低木。葉は単葉でふつう対生し、鋸歯がない。花は放射相称、4〜5数性、2出集散花序につく。萼片は離生、または合着して萼筒をつくる。子房上位で花柱は2〜5個、胚球はふつう多数あり、独立中央胎座につく。果実はふつう刮ハ。
科名は「クローブ(香辛料)の香りがする」という意味を持つ。
(印象)カスミソウとカーネーションが同じ科だったとは、一つの科で花束がつくれるね。さて、ナデシコ科の印象ですが、意外とか弱いです。環境を選びますね。地下に豊富に水があるところでないと、思うように育たないのではないでしょうか? ビジョナデシコ等は、種をまいたときはすごい勢いで増えたのですが、猛暑に一溜まりもなく、その後の成績も芳しく有りません。ちょっと薄暗い森の中で、フシグロセンノウが咲いていると、日も射していないのに、花が光り輝いていてホットするんですがね。
オオヤマフスマ属(Moehringia)・・・
この属にはオオヤマフスマがある。
この属にはオノエマンテマなどがある。
ナデシコ属(Dianthus)・・・ヨーロッパ、地中海沿岸地域、アジア、熱帯及び南アフリカの山地などに広く分布する。日本には4種と2変種が自生し、北アメリカにはヨーロッパから帰化した4種のみが東部に生育する。属名は、ギリシャ植物学の相デオフラストゥス(BC300頃)が、花の美しさに魅せられてdios(神聖な)、anthos(花)と名づけた。ときには種間交雑が可能で、いろいろな雑種が育成できる。草本ときに半低木。葉はふつう線形。花は5数性、紅色か白色、円筒形の萼筒がある。花柱は2個、刮ハは4裂する。
ノミノツヅリ属(Arenaria)・・・北半球の寒冷地に約350種、日本に7種ある。
ハコベ属(Stellaria)・・・世界に約100種、日本に17種ある。葉の形、葉柄の有無、茎や花柄の毛の有無や生え方、萼片や花弁の形、雄しべの数、種子の数や大きさ、表面の構造が分類の手がかりになる。草本。花は5数性。花弁は白色、ふつう2裂する。まれに花弁がない。雄しべは1〜10個。花柱は3個、刮ハは6片に割れる。

その他のハコベ属にシコタンハコベ、ハコベ、ミヤマハコベなどがある。
オオビランジは栃木から長野・山梨・静岡にかけての山地の崖に自生する。またタカネビランジは南アルプスの高山帯に固有である。アオモリマンテマは東北の和賀山域などに限って分布が知られている。トカチビランジは北海道の石狩山地から報告があり、またロシア、中国、朝鮮に広く分布するカラフトマンテマの変種であるアポイマンテマは北海道のアポイ岳と幌尻岳に固有の植物である。 フシグロセンノウは北海道と沖縄を除く、本州から九州までの山地の林下に自生しており、橙色から赤橙色の大きな花をつける。センジュガンピもまた山地の林下に生え、その分布も北海道・あ青森から岐阜までと比較的広いが花は白色である。フシグロセンノウとセンジュガンピはセンノウ属に含められることがある。
この他、マンテマ属にはマツモトセンノウなどがある。
ミヤマミミナグサは本州中部の南アルプスと北アルプスおよび八ヶ岳を中心に高山の岩礫地自生する。花弁が単純に2裂することで区別できる変種のクモマミミナグサは北アルプスに固有。ミツモリミミナグサは北海道と青森県西部にのみ自生する。
ワチガイソウ属(Pseudostellaria)・・・基準変種のワチガイソウは本州の福島から九州ばかりではなく、中国大陸にも分布があるが、その変種のヒナワチガイソウは群馬、茨城、千葉、東京と遠く離れて高知、徳島、愛媛での報告がある。参考文献
日本の固有植物 (国立科学博物館叢書)
高山に咲く花 増補改訂新版 (山溪ハンディ図鑑)
園芸植物 (山渓カラー名鑑)
最終更新日 2021/08/05