イネ科

学名：Gramineae（Poaceae）

分類：単子葉植物

熱帯アメリカに分布するアノモクロア亜科、新旧両熱帯に分布するファルス亜科、およびアフリカの湿潤熱帯に分布するプエリア亜科からなる初期分岐群を除くと、タケ亜科、イネ亜科、イチゴツナギ亜科からなるグループと、ササクサ亜科、ダンチク亜科、ヒゲシバ亜科、キビ亜科からなるグループの２つの単系統群にわかれる。世界に793属10000種分布する宿根草、日本に162属622種、日本の固有植物は113種11亜種43変種。

茎は断面が円形、中空、葉は２列に並び、葉鞘は茎を巻くか閉じない。穂状花序をつける種類が多い。そのほかは円錐、総状花序。小花は苞穎、外穎及び内穎２に包まれる。花被は退化していない。多くは風媒花、胚乳はでんぷん質。特にオオムギ、イネ、コムギ、トウモロコシなど、多くの重要な産業作物がある。

（印象）イネ科というのはイネやトウモロコシなど食用以外のものは、ほとんどが雑草という感じだ。しかも、ススキを例に見ればわかるが、葉の繊維が縦に長く、容易にちぎれない頑丈な植物で、庭に侵食されると厄介な類だ。

 

イネ科の屬と花の紹介（四季の山野草編）

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• アワカエリ属（Phieum）・・・世界の温帯〜寒帯に１０数種、日本に２種ある。花序は円柱形。小穂には小花が１個だけつく。外花頴は苞類より短く、芒はない。
  この属にはミヤマアワカエリなどがある。
• イネ属　（Oryza）・・・イネ
• ウシノケグサ属（Festuca） ・・・世界に約２００種、日本に６種がある。小花は２個以上。外花頴は苞頴より長く、５脈がある。
• エノコログサ属　（Setaria）・・・アワ、エノコログサ、キンエノコロ
• カニツリグサ属（Trisetum） ・・・世界の温帯〜寒帯に５０数種あり、日本に４種が自生する。小穂は２〜６小花。苞類は最下の外花頴と同長かより長い。外花頴の先は２裂し、芒はその間からのびて、ねじれる。
• キビ属　（Panicum）・・・キビ・ハイキビ・ヌカキビ
• コウボウ属（Hierochice） ・・・世界に１０種ほど、日本に３種ある。小花は３個、上１個が両性、下の２個は雄。
• コヌカグサ属（Agrostis） ・・・世界に２００種ほど、日本に６種が自生する。花序は円錐形。小穂は１小花からなり、苞類は小花より長い。小花の基部に毛束がない。
  日本固有種でミヤマヌカボ（別名ヒメ米ススキ）が北海道、本州（中部地方以北）、四国、九州に分布し低山帯〜高山帯の砂礫地に生える。
• コメススキ属　（Deschampsia）・・・世界の温帯〜寒帯に約６０種、日本に３種ある。小花は２（〜４）個。外花穎の先は切形、背面に芒がつく。
  キタササガヤは、北海道〜本州中部の山地に生える稈の節を見ると、ササガヤでは鞘口側のみに毛があるが、本種では全周に斜上する長毛がある。なお、ササガヤと区別できないという見解もある。
• ススキ属　（Miscanthus）・・・日本原産のタケ、ササ以外のイネ科植物のうちもっとも重要な種類で、１７種。冬に地上部が枯れる宿根草。葉は細長で株もとから密生する。
  ムニンススキは、小笠原諸島の開けた草原に生育する。桿が扁平となることなどを特徴とするが、ススキとの識別は難しい。ハチジョウススキに近縁とする考えもあるが、形態的には本土のススキに近い。オオヒゲナガカリヤスモドキは、本州（中北部日本海側）の山地の林縁などに群生する。カリヤスに似るが葉が幅広く、小穂には短いながらも芒がある。カリヤスモドキは、本州、四国、九州の山地の開けた草地やガレ場などに生育する。ススキの貧弱な個体に似るが、小穂が大きく、芒も長い。また葉身と葉鞘の境に長白毛が密生するので識別できる。シナノカリヤスモドキは、本州（長野）の高原の草地に生える。カリヤスモドキに似るが第１包頴に４〜５本の脈にがあることや、小穂の基毛が8.5mmほどとやや長いことが異なるとされる。ススキとカリヤスモドキの中間的な形質を持つ。カリヤスは、本州（東北〜近畿）の山地の山脈の林縁などに群生する。他のススキ属からは、明瞭な芒のないことで識別できる。葉身と葉鞘の境に長白毛が密生する点でもススキと異なる。
  その他の種としてオギ
• ドジョウツナギ属（Gｌyceria） ・・・北半球に約40種、日本に６種ある。小花は２個以上、まったく芒がない。外花頴は苞頴より長く、７〜９脈、背面はまるい。
• トウモロコシ属　（Zea）・・・トウモロコシ
• ノガリヤス属（Calamagrostis）・・・世界に約１５０種、日本に１７種ある。花序は円錐形。小穂は１小花からなり、小花の基部に毛束がある。
  この属には、イワノガリヤス、タカネノガリヤス、ミヤマノガリヤスなどがある。
• ヒゲナガコメススキ属（Ptilagrostis）・・・中央アジアと東アジアの温帯〜寒帯に７種ほど、日本に１種ある。花序は円錐形。小穂は小花からなる。外花頴の先は２裂し、裂片の間から羽状の芒が出る。
  この属には、ゲナガコメススキ（別名ヒゲナガハネガヤ）が本州（白馬鑓ヶ岳(、北岳）アジアに分布し、高山帯の砂礫地に生える。
  
• ハルガヤ属（Anthoxanthum） ・・・小花は３個、上１個が両性。下の２個は無性。無性花は外花頴だけ、外面はざらつく。
• ヒエ属　（Echinochloa）・・・イヌビエ 、ヒエ

参考文献
日本の固有植物 (国立科学博物館叢書)　　 高山に咲く花 増補改訂新版 (山溪ハンディ図鑑) 園芸植物 (山渓カラー名鑑)