ヤチトリカブト

最終更新日
2016/09/18
●学名
Aconitum senanense ssp. paludicola
●科名
キンポウゲ科トリカブト属
●花期
8月〜9月
●生育地

本州の鳥甲山、雨飾山、北アルプスに分布し、亜高山帯〜高山帯の湿った草地に生える多年草。

●特徴

花柄に開出毛がある。葉は3中裂〜深裂する。茎の先は長く伸びて70〜150p。標高の低いところでは花序はよく分枝して円錐状、高山の風衝地では散房状になる雄しべはふつう無毛。
葉はホソバトリカブトより切れ込みが浅くて単純。

●写真集

ヤチトリカブトの花ヤチトリカブト 栂池自然園

●育て方

4〜6号程度の中深鉢に、赤玉土4、軽石砂4、腐葉土2などを配合した肥沃な用土で植える。

植え替えは1〜2年に1度、塊根を掘り起こして行う。適期は新芽の出る前の3〜4月中旬。
午前中日が当たるか、木漏れ日の当たるような場所に置く。冬の休眠期は棚下などで保護する。

水やりは芽出し時期は少し多めに、その後は表土の乾きを見てたっぷりと与える。葉が枯れやすく、夏期は腰水で育てるとよい。休眠期も施す。

施肥は有機性固形肥料を植え付け後鉢の周囲に置肥する。花後に追肥として、また、植え替えない葉には春に同じ肥料を置肥する。

殖やし方は植え替え時に地下の塊根を分ける。作業は根に強い毒があるので、手袋をはめて行い、作業後は素早く手を洗うなど注意する。実生での増殖も容易で晩秋にタネを採取して早春にまく。

●近縁種

ヤチトリカブトとミヤマトリカブトの違い

ヤチトリカブトの花柄

ヤチトリカブト
花柄に開出毛(茎に対して直角に生える毛)がある。

ミヤマトリカブトの花柄

ミヤマトリカブト
花柄全体に屈毛がある。


イブキトリカブト (近畿地方の日本海側山地に分布する種類。)

エゾトリカブト (北海道中央部に分布する。毒性が強い。)

オオレイジンソウ (亜高山帯から高山帯の湿り気のある草地に生える多年草。レイジンソウより全体に大きく、淡黄色の花をつける。)

オクトリカブト (ヤマトリカブト群のひとつで、北日本に分布する。)

カワラブシ (関東地方西部〜中部地方の太平洋側と紀伊半島に分布。)

キタザワブシ (本州の日光、八ヶ岳、南アルプス北部、中央アルプス、御嶽山に分布する。)

タンナトリカブト (ヤマトリカブト郡で西日本ではもっともふつうの種類。)

ツクバトリカブト (筑波山で発見された。東北地方南部の太平洋側から関東地方のほぼ全域と中部地方内陸部の高原に分布。)

ナンタイブシ (赤城山、日光、足尾山地分布する。)

ハナカズラ (日本で唯一のつる性トリカブトで、分類の難しいトリカブト類でも、他種と混同することはない。絶滅危惧植物。)

ホソバトリカブト (日光白根山、中央アルプス北部、八ヶ岳、南アルプスに分布する。)

ミヤマトリカブト (東北南部から乗鞍岳、白山にかけての地域に分布し、花梗に屈毛が生える。)

ヤマトリカブト (関東地方西部と中部地方東部の特産。)

レイジンソウ (明るい林の中や山地の草原に生える多年草。淡紅紫色の花をつける。)

●和名
谷地鳥兜。和名は谷地(湿地)に生えるという意味で、基準標本が上高地の谷間で得られたため。しかし、本種は北アルプス高山帯に広くふつうに分布する。高山植物が低所の渓谷沿いに生育することはしばしばみられる現象であり、ヤチトリカブトが湿地に好んで生えるというわけではない。
花の形が舞楽奏者の冠(鳥兜)に似ていることからトリカブトの名がついた。
別名イオウザワトリカブト。
●参考図書
高山に咲く花(山と渓谷社)、山草図鑑(栃の葉書房)