トウヤクリンドウ

最終更新日
2017/08/15
●学名
Gentiana algida
●科名
リンドウ科リンドウ(ゲンティアナ)属
●花期
8月〜9月
●生育地

本州の中部地方以北の高山帯の草地や風衝地、時に湿地の周辺に生える高さ10〜30cmの多年草。

●特徴

花色は日本産のリンドウ属との種としては例外的な淡黄白緑色。
根生葉は叢生し、長さ7〜15cm、幅0.5〜1.2cmの倒披針状線形〜へら状線形で3脈があり、基部は細く鞘状になる。茎葉は対生し、長さ2〜5cm、幅0.3〜1cmの披針形〜長楕円状披針形(まれに倒披針形)。花は淡黄色で青緑色を帯びた斑点があり、茎の先に1個〜数個つく。花冠は長さ約4cmで浅く5裂して開く。裂片の間の副片は小さい。萼は長さ3cmで5中裂し、萼片はふぞろい。刮ハは花冠とほぼ同じ長さ。種子には3翼がある。中国には花が紫青色のものもある。

●写真集

トウヤクリンドウの花トウヤクリンドウ 日光・白根

トウヤクリンドウの花トウヤクリンドウ 乗鞍岳

●育て方

日照を好むので、春〜秋まで日に当て、過湿にならないように注意する。

2〜3年に1回、株分けを兼ねて春の芽だし前後か秋に、エゾ砂・軽石などの単用か混合土で水はけ良く植え付ける。

鉢は、夏の高温から根を守るため、軽石鉢などを用いると良い。

花をたくさん咲かせるには、充分な日照と肥培が必要。

増殖は株分けか挿し芽・実生による。

栽培では5月開花。

●近縁種

アサマリンドウ (伊勢の朝熊山にその名が由来する小型種。紀伊半島、中国地方、四国、九州に分布。)

エゾリンドウ (北海道、本州、中部地方以北の山地に自生。切り花として売られているリンドウは、エゾリンドウの栽培品。)

オヤマリンドウ (東北から中国地方、四国の亜高山に分布し、エゾリンドウに似るが花冠の上部が平開しない。)

クモイリンドウ (別名エゾトウヤクリンドウ。大雪山の高山帯の風衝地や湿地の周辺に生える。高さは7〜15cmとトウヤクリンドウより小型だが、花は長さ約5cmと葉の幅もやや広い。南アルプスの風衝草原にも近い形のものがある。
ただし、天山山脈からロッキー山脈に至る広範な分布の中では大小さまざまな形があり、とくに北海道産を別群と見ることはむずかしい、ようだ。)

タテヤマリンドウ (北海道と本州の中部地方以北に分布し、亜高山帯から高山帯の湿原に生え、全体が小さく、また花茎の数が少なく、花もやや小型で淡紫色〜白色のもの。)

ツルリンドウ (日本各地に分布するつる性の多年草。)

ハルリンドウ (日当たりがよく、湿り気のある草地に生える越年草。冬はロゼットで冬越しする。)

フデリンドウ (山野の日なたに自生し、ハルリンドウよりやや小型。根元の葉はロゼットにならない。北海道、本州、四国、九州、朝鮮半島、中国、サハリンなどに分布。)

ミヤマリンドウ (北海道・本州の中部地方以北に分布。花冠裂片の副片は平開する。)

ヨコヤマリンドウ (シベリア〜北米に広く分布する日本では大雪山特産。草丈5〜10cm。花は長さ約2cm。黒紫褐色で、花冠はほとんど開かない。)

リンドウ (本州、四国、九州に分布する山野や田の畦などに生える多年草。)

●和名
当薬竜胆。種小名のalgidaは「寒冷な」の意味。根を薬用にすることから当薬「センブリの茎根を乾燥したもの」の名がある。
●参考図書
高山植物(山と渓谷社)、山の花1200(平凡社)、山草図鑑(栃の葉書房)