オオバコ科はこれまでは3属200種ほどの小さな科として扱われてきた。しかし、APGV分類体系ではこれまでのゴマノハグサ科やアワゴケ科、ウルップソウ科、スギナモ科の各属も含めて、世界中に広く分布する90属1700種を含む大きな植物群として扱われている。従来の定義にしたがうと、日本にはオオバコ属の1属4種があり、1種1属が固有。
海岸から高山、乾燥地から湿地とさまざまな環境に適応し、「足の裏で選ぶ」という意味の学名も繁殖力の強さを表している。。
(印象)根が深いオオバコしか知らなかったが、広義では身近なオオイヌノフグリとかクガイソウなどが加わり親しみやすくなった。
クガイソウは直立する草本で、茎頂に総状の花序をつけ、花序の中には短毛があり、葉は長楕円状披針形で、本州(青森〜滋賀、紀伊半島、隠岐)に分布する。イブキクガイソウは全体が小型で、葉は長さ4〜6cmで伊吹山の上部草原に生える。ナンゴククガイソウは花序の中軸が無毛のもので、本州(中国)、四国、九州(熊本)に分布する。リュウキュウスズカケは茎は斜上して、先端は地面に接して新苗を作り、花序は枝に頂生し、淡い紫色を帯びた白色で、鹿児島県(奄美大島、喜界島)、沖縄県に分布する。キノクニスズカケは、花序を腋生し、花は白色で和歌山県に分布する。
クワガタソウ属(Veronica)・・・ゴマノハグサ科から編入。
クワガタソウは花は腋生し、葉は長卵形で有柄、萌果は三角状扇形で、本州(東北〜中部)に分布する。コクワガタは花序が長さ1cmほどで花数も少なく、本州(関東〜近畿)、四国、九州に分布する。ヤマクワガタは茎に開出毛が密生し、葉は基部が切形で下面は有毛、萌果は菱形で、本州(山形〜富山)に分布する。サンインクワガタは茎に屈毛が生え、葉はほとんど無毛で基部はくさび形、本州(京都〜山口)に分布する。グンバイヅルは茎が地面を長く這い、花は腋生の総状花序につき、葉は円形〜長楕円形で短い柄があり、本州(群馬、長野)に分布し、岩礫地に生える。参考文献
日本の固有植物 (国立科学博物館叢書)
高山に咲く花 増補改訂新版 (山溪ハンディ図鑑)
園芸植物 (山渓カラー名鑑)
最終更新日 2018/04/01