イチリンソウ・イチゲ

最終更新日
2016/06/15
●学名
Anemone nikoensis
●科名
キンポウゲ科イチリンソウ属
●花期
4月〜5月
●生育地

一般園芸でなじみの深いアネモネと同じ仲間(属)。アネモネ属は世界各地に150種ほど、日本に約12種が分布する。
イチリンソウは本州、四国、九州の山中の疎林の下の比較的明るい草地で、軟らかい黒ポカあるいは小石混じりの粒質上で、常時適湿を保ち、きわめて水はけの良い場所に見られる多年草。6月には地上部は枯れ、伸びた草に埋れた地中で休眠する。

●特徴

この属の花弁のように見える部分は萼片で、5〜10数枚あり、美しい花が多い。鉢植えでは花つきが悪いのが難点。比較的矮小で、花つきのよい選別種が普及する。

高さ15〜20cm。花は白色5弁、裏側は淡紅色を帯びる。葉はニンジンのように深く裂け、暗緑色で白い斑点がかすかに入るものが多い。

●写真集

イチリンソウ・イチゲイチリンソウ  みかも山

イチリンソウイチリンソウ  庭の春

●育て方

春は日当たり、地上部が完全に枯れたら棚下や木陰などで管理する。夏の休眠期間も乾かさない程度に灌水する。

早春〜花後に充分肥培する。

植え替えは9〜10月に行い、赤玉土・硬質鹿沼土で、中深鉢に植え付ける。

増殖は株分けが一般的。根茎を小さく分け過ぎると株数は増えるが花付きは悪い。実生は4年で開花する。

庭植えは、夏に木漏れ日が射す落葉樹の下に植える。

●近縁種

アズマイチゲ (北海道・本州・四国の山地や山裾に自生。)

アネモネ (地中海地方原産の秋植え球根植物。)

キクザキイチゲ (アズマイチゲより葉が深く切れ込んでいる点で違いを区別する。北国の多雪地帯に多い。)

サンリンソウ (北海道・本州中部地方以北の山地・亜高山帯に自生。)

シュウメイギク (中国原産の多年草。)

ニリンソウ (日本各地の山地や山裾に自生。藤原岳産の矮性種、多弁花「銀杯」などの品種がある。イチリンソウは花が大きく、茎葉に柄があり、小葉は細かく裂けるので、ニリンソウとは簡単に見分けられる。)

ハクサンイチゲ (本州中部地方以北の高山帯の湿り気のある草原に自生。)

ヒメイチゲ (北海道・本州中部地方以北の山地や針葉樹林内に自生。)

フタマタイチゲ (北海道・千島・樺太に分布。)

ユキワリイチゲ (本州の西部から九州に分布し、山麓の林のふちや竹林などに生える多年草。)

●和名
一輪草。花を一つだけつけることによる
●花言葉
追憶
山の中にひっそり咲いて一瞬の命を輝かせたあと、花も葉も枯れて消え、翌年になると思い出したかのように咲くことからつきました。
●参考図書
日本の高山植物、山に咲く花(山と渓谷社) 山草辞典(栃の葉書房)、美しい花言葉・花図鑑(ナツメ社)