世界の熱帯から寒帯に約80属2400種、日本に10属32種8変種、日本の固有植物は9種7変種。日本ではオオハマギキョウだけが木本。万葉集の時代から歌われる桔梗を代表に、日本にも野生種が多い。
合弁花類。葉は単葉で互生、対生、または輪生。花は両性で放射または左右相称、5数性で総状または頭状花序につく。花冠は5裂し、釣鐘状または筒状をなし、裂片は蕾のときには敷石状にたたまれる。子房は下位または半下位、果実は刮ハまたは液果で、種子には胚乳がある。多くは草本だがまれに低木もある。
花が放射相称で、植物体に乳液がある群はホタルブクロ亜科、乳液がない群はナガボノウルシ亜科、花が左右相称で葯が合着する群はサワギキョウ亜科に分類される。日本の高山植物はすべてホタルブクロ亜科に入る。
科名はCampanula(釣り鐘)に由来する。
(印象)キキョウ科の花はシンプルで可愛らしいモノが多い。そして、集合して花束になることが多い。
シデシャジン属(Asyneuma) ・・・北半球に約40種分布し、日本には1種シデシャジンある。
ツクシタニギキョウはタニギキョウに比べて小型で、葉は直径1cm以下、やや質が厚く鈍い光沢があり、四国、九州に分布する。エダウチタニギキョウは逆に大型で、茎はよく分枝して地面を這い、九州に分布する。
ツリガネニンジン属(Adenophora)・・・ユーラシア大陸に約40種が分布し、いずれも多年草で地下に太いか根茎がある。花は総状または円錐花序につき、花冠の先は5裂する。子房は下位につき3室。
ヒナシャジンは岸壁から懸垂し、葉は線状披針形で短い柄があり、顎裂片は全縁、花冠は白色で、花柱は花冠より短く、高知県に分布する。ツクシイワシャジンは花冠が紫色、葉は披針形〜卵形で、花柱は花冠より長く、顎裂片に細鋸歯があり、宮崎県と熊本県に分布する。ヒナシャジンと共に石灰岩植物である。 イワシャジンは、葉は披針形で、花柱は花冠より短く、本州(埼玉、神奈川、山梨、静岡、愛知)に分布し、渓谷の岩壁上に生える。 ホウオウシャジンは高山植物で、葉は質がやや厚くて無柄、萼裂片の鋸歯が少なく、南アルプス北部に分布する。
ヒメシャジンは茎が直立し、花冠は鐘形、花盤は円筒形で長さよりも直径が大きく、花柱は花冠と等長かあるいはわずかに長く、顎裂片に細鋸歯があり、本州(東北〜中部地方)に分布し、亜高山帯〜高山帯の草原に生える。ミョウギシャジンは葉が輪生し、花柱は花冠より長く、顎裂片は全縁または細鋸歯があり、本州(群馬、東京)に分布し、岩壁に生える。シライワシャジンは花柱が花冠より長く突き出し、顎裂片は全縁で、南アルプス中部の石灰岩地に生える。シラトリシャジンは花冠が広鐘形で中部以上まで深裂し、花盤は低平な環状、顎裂片は卵形〜広披針形で全縁、北海道雨竜地方の超塩基性岩地に生える。
オトメシャジンは、変異の幅が広い広義のサイヨウシャジンの中でも、葉が互生して細く線形、花が長さ1cmと小さく、花柱は長く花冠から突き出す点で特異である。東赤石系(愛媛県)に分布し、上部の超塩基性岩地に生える。
フィティウマ属(Phyteuma)・・・西アジアからアルプスにかけて50〜60種の仲間が分布する。
ヤマホタルブクロは高さ70pほどの多年草で全体に剛毛があり、混生葉は花時には生存せず、下部の茎葉の葉身は卵形〜披針形で葉柄には明瞭な翼があり、花冠は長さ約5p、淡紅紫色、萼裂片は狭三角形で、基準変種のホタルブクロに見られる萼裂片と互生する付属体がない。本州(東北南部〜近畿)に分布し、山地帯〜高山帯の草地に生える。シマホタルブクロは全体が無毛で、葉柄は翼がないかあるいは狭い翼があり、花冠はホタルブクロに比べてより小型で長さ約3p、総状花序に多数つき白色、千葉、静岡、伊豆諸島に分布する。

その他の種としてイワギキョウ、エダザキキキョウ、オトメギキョウ 、シコタンギキョウ 、チシマギキョウ 、ベルフラワー、ヤツシロソウなどがある。
オオハマギキョウは低木状になる一稔性多年草で高さ3mにもなり、花冠は単唇型で、小笠原(父島、母島ほか)に分布し、海岸の岩場に生える。マルバハタケムシロは茎が匍匐する小型の多年草で、葉は肉質で光沢があり、花は二唇型で、琉球(奄美大島、沖縄島、久米島)に分布し、海岸の岩場や畑の畔などに生える。参考文献
日本の固有植物 (国立科学博物館叢書)
高山に咲く花 増補改訂新版 (山溪ハンディ図鑑)
園芸植物 (山渓カラー名鑑)
最終更新日 2019/09/10