世界に85属3000種、日本に39属164種、日本の固有植物は39種26変種。
草木も木本もある。葉はふつう互生、単葉も複葉もある。花は放射相称、4または5数性、明らかな萼筒がある。子房は上位から開まで、果実も多様。
次の4亜科に分けられる。シモツケ亜科Spiraeoideaeの果実は裂開する。ナシ亜科Maloideaeは果実がナシ状果。サクラ亜科Prumoideaeは果実が核果。バラ亜科Posoideaeは雌しべが多数。果実は裂開しない。
バラやサクラなどの観賞用や、モモやリンゴ、ウメなどの食用種が多い。ユキノシタ科、マメ科に近縁。
(印象)バラ科の中でもやはりバラが豪華な花。毎年咲くのが楽しみな花だ。写真のようなツルバラ(カクテル)なら丈夫で間違いない。ただ、一般的なバラや果物系は虫害や黒点病などの病気にも弱い一面もあり、表現は違うのだろうが、美しい花には刺がある、印象だ。
オランダイチゴ属(Fragaria)・・・北半球と南アメリカに10数種、日本にノウゴウイチゴとシロバナノヘビイチゴの2種が自生する。長いランナーを伸ばす。葉は3小葉。花は白色。5〜8数性、雄しべは多数。花床は果時に肥大し、痩果から螺旋状に並ぶ。
この属にはカリン(花梨)がある。
クワノハイチゴは琉球に分布し、托葉は早落性で、花序は頂生する。アマミフユイチゴは琉球(奄美大島、徳之島)に分布し、地を這い、花序は頂生と腋生する。ホウロクイチゴは本州(新島以西)、四国、九州、琉球に分布し、花は大型で、葉はほとんど切れ込まず、基部は深い心形、イオウトウキイチゴは硫黄列島に分布し、額に腺毛があり、果実は赤く熟する。ミヤマモミジイチゴは本州(関東、中部、近畿)、四国に分布し、葉は深く5〜7裂し、果実期に小花柄は反転する。ベニバナイチゴは北海道西南部、本州北部と中部(日本海側)に分布し、花は濃赤色である。バライチゴは本州(中部と西部)、四国、九州(屋久島以北)に分布し(最近、奄美大島にも分布するとされる)、葉は羽状複葉であり、茎は一年生である。オキナワバライチゴは九州南部、琉球に分布し(最近、静岡県須崎にも分布するとされる)、茎は2年生で、葉の表面は無毛で、裏面に刺がない。ハチジョウクサイチゴは伊豆諸島、小笠原に分布し、葉は3出複葉である。ヒメゴヨウイチゴは南千島、北海道、本州(北部・中部)に分布し、草本性で、地を這い、葉は落葉する。
その他の種として、チシマキンバイ、ミツバツチグリ、ミヤマキンバイがある。
クロバナロウゲ属(Comarum)・・・1属1種。葉は奇数羽状複葉。花は暗紫色、花床はふくらんでスポンジ状になる。花柱は子房の向軸側につき、痩果は無毛。1属1種。
サクラ属(Prunus)・・・北半球の暖帯〜寒帯に約200種、日本に10種が自生する。落葉または常緑の木本。葉は単葉で鋸歯縁。花は5数性。萼筒は筒形または壺形。雌しべは1個、子房周位で、核果を結ぶ。
ヤマザクラは本州(太平洋側は土産、日本海側は新潟以西)、四国、九州に分布し、若芽はしばしば赤色を帯びる。ツクシヤマザクラは本州(山口)、九州、トカラ列島(諏訪瀬島以北)に分布し、葉や花はヤマザクラより大型で、葉身の幅も4〜6cmほど。萼筒の長さは7〜9mmほどである。キリタチヤマザクラは九州(宮崎)に分布し、基準変種のオオヤマザクラより小花柄が長く、3.5cmほどである。
その他の種として、ウメ(梅)、カワヅザクラ、サクラ (桜)、シダレサクラ、八重桜などがある。

イワシモツケは本州(近畿以東)に、トサシモツケは四国(高知、徳島)に、イブキシモツケは本州(近畿以西)、四国、九州に、それぞれ分布する。トサシモツケは葉が倒披針形で幅3〜8oで、葉は狭長円形から倒卵状円形で幅5〜18oのイワシモツケから区別される。イブキシモツケは葉の鋸歯が顕著である。ウラジロシモツケは九州(鹿児島)に分布し、葉は小型で卵形、長さ1〜3pほどで、裏面は緑白色である。ドロノシモツケは本州(近畿)に分布し、葉は披針形で、長さ3〜5cmである。エゾノシジミバナは北海道、本州(北部)に分布し、シジミバナに似るが花は一重である。日本の野生種ではなく、栽培植物であるとの説がある。ウラジロイワガサは本州(中国)に分布し、若枝と花序にまばらに毛がある。イヨノミツバイワガサは四国(愛媛)に分布し、若枝と花序に密に毛がある。これらの2変種はイワガサとイブキシモツケの自然サッシュであるという説がある。

シコクシモツケソウは四国、九州(宮崎)に分布し、雌雄異株で、花は白色で、痩果は半卵形で柄がない。シモツケソウは本州(関東、新潟以西)、四国、九州に分布し、葉に側小葉があり、よく発達し、花は紅色である。アカバナシモツケソウは本州(関東北部、長野、山梨)に分布し、痩果の縁に毛がある。コシジシモツケソウは本州(北部から中部の日本海側)に分布し、葉の側小葉は少数でふつう1または2対である。
この属には、オニシモツケ、キョウガノコが含まれる。

この属にはカラフトダイコンソウ、ダイコンソウ、ミヤマダイコンソウが含まれる。
チョウノスケソウ属(Dryas)・・・葉は単葉。花は単性。萼片と花弁は8〜9個。副萼片はない。雌しべは多数。花柱は頂生し、花後に伸びて羽状になり、痩果を結ぶ。
北半球の温帯〜寒帯に25種ほどあり、日本に1種が自生する。葉は奇数羽状複葉。葉柄、小葉柄の基部に関節があり、小葉は個々に落ちる。花は5数性、花盤がない。雌しべは多数。花柱は果期にのびて羽毛状になる。

バラ属(Rosa)・・・北半球の温帯〜寒帯に約250種あり、日本に11種が自生する。茎に刺があり、葉は奇数羽状複葉。花は5数性、萼筒は球形。雌しべは多数、子房周位。萼筒が成熟して肉質の偽果となる。
ヘビイチゴ属(Duchesnea)・・・広義ではキジムシロ属に含まれる。キジムシロ類とヘビイチゴ類は花が黄色でよく似ているが、キジムシロ類は花のあと花床がふくらまず、いわゆるイチゴ型の果実をつくらない点が異なる。花期なら副萼片の形で見分けられる。キジムシロ類の副萼片は萼片と同じ形で、ほぼ同じ大きさかやや小さいが、ヘビイチゴ類の副萼片は大きく、粗い切れこみがある。
その他として、ボケがある。
ヤマブキショウマ属(Aruncus)・・・北半球の温帯〜寒帯に1種ある。多くの種内分類群が記録され、日本では2変種、2品種が認められている。
リンゴ属(Malus)・・・ヨーロッパ、アジア、アメリカ合衆国に35種の低木、高木が分布する。
ワレモコウ属( Sanguisorba)・・・ワレモコウ属は東アジアを中心に10数種が知られ、ヨーロッパにはワレモコウ1種が、北米大陸にはタカネトウウチソウ1種が、それぞれ分布をのばしている。日本には7種が自生する。葉は奇数羽状複葉、小葉はすべてほぼ同じ大きさ。花は小さく、多数集まって花穂をつくる。花は4数性、花弁はなく、花の色は花糸や萼筒の色。雌しべは1個。花色が白か赤か、開花の順が花序の上からか下からかの、2つの組み合わせがあり、大半が高山性で、原則として1地域に1種、分布が重なるところでは種間雑種が生じる。
シロバナトウウチソウは本州(東北)に分布し、花は白色である。ナンブトウウチソウは本州(岩手県、早池峰山)に分布し、花は淡紅色である。エゾノトウウチソウは北海道(日高)に分布し、花は紅紫色で、花序の基部の方から開花する。カライトソウは本州に分布し、花は紅紫色で、花序の先端から開花する。韓国にも分布するとの報告があるが、検討する必要がある。参考文献
日本の固有植物 (国立科学博物館叢書)
決定版 山の花1200-山麓から高山まで
高山に咲く花 増補改訂新版 (山溪ハンディ図鑑)
最終更新日 2018/12/2